貴方がいるから
寂しさを知った
貴方がいるから
痛みを知った
しかし貴方がいなければ
優しさを
知らなかっただろう
死の馬に跨がり
生の道を
貴方の中心には
強く刻まれた定めが
穏やかな闘志を
温かな血を
そして
光を
道を歩いた
人間が怖い
街中に響き渡る人間の声
耳を塞ぐ
しかし僕の頭の中には
その余韻が僕の全てを支配した
人間が怖い
何故だろう
誰かに側にいてほしいのに
誰も寄せ付けない
ふりをする
感情を素直に表現できないから
その感情を見えない感情を
ここに表現する
素直に泣ける人を羨ましく思う
僕はここで呼吸をする
明日また息を止めて生きる為
ここで深呼吸をする
2つに分裂した僕は
お互いの手を固く握り
誓い合うのだ
またいつか一つになれますようにと
僕は人間だ
僕は人間だ
僕は僕なのだ
痛みが沈黙を
傷が静寂を
血が言葉となり
私は平静を取り戻す
遥か彼方の冷たい星に
今宵も祈りを捧げた
私の中の色彩が
少しづつ
色付きはじめた
僕が色を知り
世界が色を取り戻すまで
闘うのだ
片手に持つ白旗は
温かな血で
生きた証となる
それでも花は咲くのだろう
それでも風は吹くのだろう
それでも光は射すのだろう
だから君は生きるんだ
生きろ
運命の鎖から解放され
本来の自由へと
最も厳しい闘いへと
さあ、行こう
鏡の中の自分に問う
鏡の中の僕は
何も答えない
それが
答えなのだろう
飛ばない鳥
あと少し
もう少し
自分を信じてみようと
少しの勇気と
少しの痛み
ほんの少しの悲しみ
そうして得る
大いなる
幸福
貴方が言葉を求める
貴方が道を探す
本来の姿を探す
愛を欲する貴方
小さな貴方の旋律が
僕に訴えかける
貴方の消えてしまいそうな僅かな炎を
再び燃え上がらせる者は
すぐそこにいるんだよ
神聖な誓い
貴方が生まれたその時
命にかえてでも守りたいと願った貴方の天と大地
愛をもって
優しい貴方の心は
灰になる運命ではないのだ
大いなる大地のもと
眠りにつく貴方の心を
そっと
静寂の中
牙をむく
欲望が精神を支配し
全てが灰と化す
天より授かりしこの羽さえも
枯れ木となる
僕は再び祈る
地に母なる大地に
我生きるべく涙を押し殺す
弱く生きれる強さを
その強さを
僕に与えよと
僕はただ
この身のまま
呼吸をしたいだけなのだ
これが僕の
呼吸の法則
僕は悲鳴をあげる
静かに
けっして誰にも届くことはないのだろう
雨の夜
響く鼓膜の中の雑音
僕の中の蝶が夢を映し出し
僕の中の蝶が夢を隠す
光の温度がこの身体を蝕む
光が強すぎる
そして
陰さえ隠すのだ
僕の目は光の反射で
あるべき世界を見失った
ここは何処か
慣れ親しんだ名が記号となり
光が更なる強さを増した
助けて僕の陰よ
助けて僕の温度よ
不意な出来事に心臓が乱れた
夜の静寂を待ち
耐えるのだ
世界が僕を見つけ出してくれるまで
あとどのくらいだろう
無機質な目から
何かが落ちる
手招きされるこの道を
進むことは
ないのだろう
僕には僕の居場所がある
本来の呼吸が出来る場所
闇の中でこそ
僕の光を探せるのだろう
きっと、そうなのだろう
我々は
変えることの出来ぬ死を
変化することの恐れを
静かに受け入れ
心と自我を一転させなければならない
それこそが今
我々に出来ることなのだろう
心我一転
一頭の馬と出会う
僕らは少しの言葉を交わし
その背中に跨がった
頭を撫で頬を近づけた
この匂い
この毛並み
この呼吸
その全てが愛おしく
静かに足をおろし
僕らの物語が始まった
僕と君が一つになり風になった
きっと誰にも見えないのだろう
君と僕は
君と僕の中でのみ生きているのだから
だけどそれで十分だった
私が石になろう
無邪気に流れる風は
貴方を未知の世界へと連れて行ってしまう
私が石になろう
しかしいつの日にか貴方は知ることになるだろう
その石が貴方をここに縛り付け
そして自由を縛りつけていることを
無邪気な風は貴方を導いていたことを
風の街
我が身を任せ
飛翔する
人間は飛べるのだから
それでも貴方が望むのならば
私は貴方の石になろう
いつの日にか私は風や雨に削られて
貴方の前から姿を消すだろう
それが風の街
生命ある者
皆自由に飛べるのだ
孤独の時こそ
正直であれ
そしてまた訪れる偽りの闘いに
備えるのだ
風に逆らい飛び始めた
血を流す覚悟こそ
神話の始まり
孤独の果てに手を伸ばす
そこには光の残像
暗闇の中では貴方が眩しく
この目を細めた
貴方が愛おしく
またあの温もりを懐かしみ
目を瞑る
光の糸に抱きしめられながら
ここから飛び立ちなさいと
空よりももっともっと高い場所から
声が響くのだ
孤独の鎖が
また僕の身体を縛り付けた
今はまだ、この鎖を解く術を知らないのだ
人間の意味とは
最も自由に呼吸をし
解放されることである
人間は皆、飛べるのだ